公認会計士 中田博文のブログ

M&Aの財務税務DDと価値評価を考えながら整理していきます。

アーンアウト条項にかかる会計処理(3):国際会計基準

会計処理 IFRS3号

  • 「取得企業は、条件付対価の取得日公正価値を、被取得企業との交換で移転された対価の一部として認識しなければならない」とあるので、クロージング時に支払対価とアーンアウトの公正価値との合計を取得対価とする。
  • アーンアウトの公正価値は、インカムアプローチによって評価される。
  • 「利益目標の達成、一定の株価への到達又は研究開発機プロジェクトにおけるマイルストーンへの到達」等の状況の変更・変更は、アーンアウトの公正価値の変動として、変動差額を損益として認識する。

具体例

  • 2019年3月末:A社がB社株式の100%買収を実施
  • B社の2019年3月末の純資産は300である。
  • 契約条件:①クロージング時に500支払う、②2020年3月期のEBITDAが800を超過した場合、金額の確定する2020年6月末に100を追加で支払う。
  • 2020/3末のアーンアウトの公正価値:95

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【その他留意点】

  • 親会社の単体でアーンアウトの公正価値にかかる評価損益が計上される。
  • アーンアウトの公正価値は、オプション評価の手法(モンテカルロ・シュミレーション等)を用いて算定する。
  • 一般的に専門的知識が必要と言われる分野であるため、監査法人は、決算ごとに外部評価機関のレポート入手を要求する可能性が高い。