公認会計士 中田博文のブログ

M&Aの財務税務DDと価値評価を考えながら整理していきます。

2018-01-01から1年間の記事一覧

財務・経理担当者のためのM&A(8)

第8回 運転資本(Working Capital)分析 運転資本の回転期間 財務DDで運転資本の回転期間がポイントとなるのは、価値評価に影響を与えるからです。 具体的には、DCF法によるFCFは、EBITDAに運転資本の増減を加味して算出するため、回転期間の設定如何によって…

財務・経理担当者のためのM&A(7)

第7回 運転資本(Working Capital)分析 運転資本の範囲 運転資本の範囲は、売掛金、在庫及び買掛金だけでなく、前払費用、未払金等のその他流動資産、その他流動負債も含める必要があります。 財務DDの初期段階で、BS科目を「運転資本」「ネットデット」「固…

財務・経理担当者のためのM&A(6)

第6回 運転資本(Working Capital)分析 滞留債権・滞留在庫 財務DDにおいて、滞留債権、滞留在庫は花形論点です。私がM&A業界に足を突っ込んだ10年前の財務DDは、「純資産調整」が中心であったため、その印象が強いです。 最近の財務DDは、キャッシュフロー分…

財務・経理担当者のためのM&A(5)

第5回 運転資本(Working Capital)分析 前受金の会計処理 前受金は、商品・サービスの販売に先立ち、顧客がその代金の一部または全部を納品前・サービス提供前に支払う場合、当該金額を一時的に負債計上するための勘定科目です。 スポーツクラブ、エステ、学…

財務・経理担当者のためのM&A(4)

第4回 運転資本(Working Capital)分析 工事前受金 対象会社が建設業・ソフトウェア業の場合、工事前受金(正確には未成工事受入金)が負債計上されていることが多いと思います。 工事前受金とは、工事案件(有形)及びソフトウェア開発案件(無形)は売上計上まで…

財務・経理担当者のためのM&A(3)

第3回 運転資本(Working Capital)分析 運転資本(WC)の分析結果は、価値評価、SPA(株式譲渡契約書)に対してダイレクトに波及するため、きちんと論点を整理したうえで、分析を始めることが大切です。 財務会計のテキストでは、運転資本の項目を限定して定義(売…

財務・経理担当者のためのM&A(2)

第2回 正常収益力分析 最近の財務DDレポートには、正常収益力分析が入っているケースがほとんどです。ただ、初めて財務DDレポートをご覧になった方にとっては、全く意味不明なスライドと思います。 また、非上場企業が対象会社の場合、会計処理の誤りを訂正…

財務・経理担当者のためのM&A(1)

第1回 ブログを始めるに至った理由 案件・営業活動以外の時間を生産的に過ごしたい 今までの経験を整理して見える化をしたい 「書くこと」=「考えること」なので、新しい気づきへの期待感 読者からのご指導ご鞭撻 内容 実務上、書籍ではあまり触れられてい…